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2025-09-18 New

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建築企画室通信「紀尾井清堂を訪ねて」

こんにちは、建築企画室の森口です。 秋の気配とともに、社内にも「読書の秋」「食欲の秋」「建築の秋」が到来中です(?)食欲担当の私ですが、どうしても気になって、東京・紀尾井町にある「紀尾井清堂」を見学してきました。

内藤廣氏設計のこの建物は、「用途未定」のまま建てられたという、とってもユニークなコンセプトの建築物。「思ったように造ってください」という依頼だったそう・・・

コンクリートの構造体をガラスで包み込んだ外観は、都市の中に静かに佇む彫刻のような存在感を放っていました。

通常は非公開なのですが、企画展「建築家・内藤廣~なんでも手帳と思考のスケッチ in 紀尾井清堂」に合わせて、無料で一般公開されています(〜9月30日まで、予約不要)。

※火木土だけ、しかも祝日は閉館日なので要注意です。平日のオープン時間に行くのがおすすめ。

1階では、東日本大震災の「奇跡の一本松の根」を再構築したインスタレーション作品が展示されており、鎮魂と再生のメッセージが込められています。2階には「言葉の曼荼羅」と題した展示があり、内藤氏の著作から印象的な言葉が並びます。3〜5階では、約40年分の手帳が年代別に公開されており、建築家の思考の軌跡を辿ることができます。

この場所を訪れて感じたのは、「建築が語るストーリー」の力。用途を定めずに建てられた空間が、展示によって意味を持ち、訪れる人に深い感動を与える。これは、私たちの仕事にも通じるものがあると感じました。空間やモノが人の心を動かす力を、改めて実感する機会となりました。

「非日常の裂け目」を感じられるこの空間にずっといたかったのですが、人も増え、おなかもすいてきたのでお気に入りの恵比寿にあるカフェへ。ポタージュで“食欲の秋”も満喫しつつ、東京旅はひとまず締めくくり。

帰ってから、豊田市美術館で観た「モネ 睡蓮のとき」のことをふと思い出しました。モネの人生を知ることで、作品の見え方が変わったように、建築も背景を知ることで、より深く心に響くのだと感じています。
そんな気づきを胸に、これからもBAミュージアムやInstagramなどを通して、建築のストーリーを丁寧に伝えていけたらと思います。

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