こんにちは、建築企画室の倉地です。
つい先日、ひとり兵庫県立美術館を観に行ってまいりました。


海沿いに立つ建物は、写真で見るよりもずっと静かで、近づくほどにその存在感が増していったのを覚えています。

館内を進むと、外に出られるガラス扉があり、中と外の境が曖昧になるような感覚でした。
その先に現れるのが、円形テラスです。何とも触りたくなるような滑らかな壁面で、手を当てると、ひんやりとした感触の中に人の手仕事の跡が感じられて、素材の冷たさよりも温度のようなものを覚えました。
壁に囲まれた空間なのに、不思議と圧迫感がなく、風や光が自由に出入りしていました。ただ立っているだけで、空間の形や空気の流れが自然と体に伝わってきます。

安藤建築によくある“余白”のような場所。ここでは建物が主張するというより、人がどう感じるかをそっと委ねているようでした。

震災からの復興をきっかけに建てられた美術館だと知り、この開かれた円形の空間が“再び海へ向かう”という意志を表しているように思いました。

帰り際、もう一度テラスを覗き込みました。静かな建築ですが、コンクリートの躍動感が確かに“動いている”ように感じました。
本当は風の教会にも行きたかったのですが、想定外に時間が経っていた為、風の教会はまたの機会に。
ひとりで観ると自分の想いがよく分かる事に気が付き、またふらっと色々な建築を観に行ってみようと思いました。
