こんにちは、建築企画室の森口です。おかげさまで東海・ビルドは、7月1日に創立30周年を迎えました。
これもひとえに、これまでご縁をいただいたお客様、協力会社の皆様、関係者の皆様一人ひとりのお力添えがあってこそです。心より感謝申し上げます。
私は2023年11月に入社したため、30年の歩みを直接知る立場ではありません。それでも、この会社で過ごす日々の中で、多くの方々が積み重ねてこられた時間や信頼の重みを感じる機会があります。
そして今回、その「時間が育てる価値」を改めて実感する出来事がありました。

6月のある日、滋賀県近江八幡市にあるヴォーリズ建築「吉田邸」で開催された、小松陽子さんのピアノコンサートを訪れました。
近江八幡は、琵琶湖の豊かな水に育まれた歴史あるまちです。
その一角に佇む吉田邸は、建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計した歴史的建造物で、現在は4代目の邸主によって大切に受け継がれています。
建物の前に立つと、長い時間を経た建築ならではの落ち着きと品格が感じられました。
新しい建築には新しさならではの魅力があります。一方で、時を重ねた建築には、その年月だけが生み出せる豊かさがあります。それは単に古いということではなく、多くの人に大切にされながら受け継がれてきた証なのかもしれません。

室内に入ると、木の質感や窓から差し込む柔らかな光、細部まで丁寧につくられた意匠のひとつひとつが心地よく、建物全体が穏やかな空気に包まれていました。そして、この日の主役である小松陽子さんのピアノ演奏が始まります。

当日は雨模様でした。窓の外から聞こえる雨音と、やわらかく透明感のあるピアノの音色が重なり合い、空間全体が静かに満たされていきます。演奏を聴いていると、時間の流れが少しゆっくりになったような感覚になりました。
今回のコンサートのタイトルは「静かな泉」。小松さんの音楽から着想を得て生まれたアレンジコーヒーとお菓子も用意されており、音楽を耳だけでなく、香りや味わいとともに楽しむひとときとなりました。
音として生まれたものが、珈琲やお菓子として新たな表現になる。そして、それらを歴史ある建築が静かに包み込む。

音楽、珈琲、お菓子、建築。
それぞれが主張しすぎることなく響き合い、その場所ならではの豊かな時間が生まれていました。そこで改めて感じたのは、建築は単なる「器」ではないということです。もし同じ演奏会が別の場所で開催されていたら、きっと違う体験になっていたと思います。
吉田邸という建築があったからこそ、音楽がより豊かに響き、人が集い、その時間が特別なものになっていたように感じます。建築には、人と人をつなぎ、文化を育み、記憶を積み重ねていく力があります。完成した瞬間がゴールではなく、その場所でどのような時間が過ごされるかによって、建築の価値はさらに深まっていくのだと思います。
東海・ビルドが掲げる「未来に価値のある建築を。」という言葉も、まさにその先の時間を見据えたものです。建物は完成して終わりではありません。
そこに暮らす人がいて、働く人がいて、集う人がいて、思い出が重なっていく。そうした日々の積み重ねが、建築をより豊かなものにしていきます。
30年という時間の中で、多くのお客様や協力会社の皆様、そして社員一人ひとりが築いてくださった信頼や想いが、今日の東海・ビルドにつながっています。
その歩みへの感謝を胸に、セカンドステージも歩み続けてまいります。
最後にお知らせ。

創立30周年を記念した広報誌「B!-co」7月号は、7月3日に公開予定です。
これから先の未来に向けた東海・ビルドの姿も感じていただける一冊となりました。公開の際には、ぜひご覧ください。
