こんにちは、建築企画室の森口です。この夏、二つのテキスタイル展を訪れました。

一つは名古屋市美術館で開催されているスウェーデンのテキスタイル展。もう一つは、京都文化博物館で開催されている「マリメッコ展 模様のちから」です。


どちらも北欧のデザインに触れる展覧会でしたが、見終わったあとに心に残ったのは、色や柄の美しさだけではありませんでした。
「模様には、その時代の暮らしや思想まで映し出されている」
そんなことを感じた二つの展覧会でした。
スウェーデンのテキスタイルでは、自然をモチーフにした伝統的なデザインから、モダニズムの影響を感じさせる幾何学的なものまで、時代とともに表現が変化していく様子を見ることができます。

モダニズムが広がった時代には、装飾だけではなく、機能性や暮らしやすさを大切にする考え方が、家具や照明、テキスタイルにも表れていました。
美しいものを、特別な場所だけではなく、日々の暮らしの中へ。一枚の布にも、そんな時代の思想が織り込まれているように感じました。

一方、京都文化博物館の「マリメッコ展 模様のちから」では、1951年の創業から現在までに生み出されたデザインを通して、マリメッコの創造の美学やプリントづくりの技術が紹介されています。
鮮やかな色彩や大胆な花柄が印象的なマリメッコですが、それらは単に目を引く「柄」ではなく、デザイナーそれぞれの視点や思想から生まれたもの。

特に印象に残ったのが、創業者アルミ・ラティアの言葉。
「私は服を売っているわけではない。ライフスタイルを売っているのだ。それはデザインであって、ファッションではない……私はドレスではなく思想を売っている」
この言葉を知ってから展示を見ると、模様が少し違って見えてきます。
服や布そのものではなく、その先にある「どんな暮らしをしたいのか」をデザインする。だからこそ、時代が変わっても受け継がれていくのかもしれません。

そして、この考え方は建築にも通じるように感じました。
建物をつくることそのものが目的なのではなく、その建物でどんな時間が生まれ、どんな暮らしや営みが育っていくのか。土地の環境や、そこで過ごす人のことを考えながら、一つひとつの建築をつくっていく。そう考えると、建築もまた「建物」ではなく、その先にある暮らしをデザインするものなのだと思います。

京都の街で、もうひとつの楽しみ。せっかく京都まで来たので、ランチは寺町にある「マダム紅蘭」へ。いただいたのは、担々麺と小籠包。展覧会をじっくり見たあとのお腹に、ちょうどいいお昼ごはんでした。

展覧会を目的に訪れた京都でしたが、街を歩いたり、おいしいものを味わったり。そんな時間も含めて、その土地を知る楽しさなのかもしれません。
模様から暮らしを考え、建築から街を考える。そんなことを考えながら過ごした、少し贅沢な京都の一日でした。
