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2025-09-04

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建築企画室通信「あつたnagAya」

こんにちは、建築企画室の倉地です。

つい先日、2025 KMEW Design Week in NAGOYAの会場のひとつ「あつたnagAya」のイベントに参加し、その設計者から直接お話しを伺う機会がありました。

この商業施設は、将来的に大きな開発によって取り壊される可能性も想定されています。だからこそ、木造という選択がなされており、一時的な建築であっても、地域の人の流れや街との関係性を丁寧に考え抜いて設計されている点に深く感銘を受けました。

愛知県産の木材を使用した構成は、地域資源を活かしながら温もりある空間を生み出しており、屋外の目に留まりやすい部分にはあらかじめグレー系の塗装を施すことで、経年変化を“劣化”と感じさせない工夫がされていました。

神宮前駅を“本殿”と見立て、前面道路に面した反復する波屋根の下に連なる各店舗を“回廊”として捉える構成は、かつての熱田神宮の「尾張造り」に着想を得たものだそうです。歴史と現代の街並みが静かに重なり合うような空間がつくられていました。

波屋根は、各店舗がそれぞれの“顔”を持つように設計されており、名古屋らしさを象徴する「名古屋根」の要素も取り入れられています。商店街との連続性を意識した設計が、街に賑わいと親しみをもたらしていました。

また、「建物に裏側をつくらない」という考え方も印象的で、空調設備等をのれんで自然に隠すことで、どこから見ても開かれた佇まいを保っていることがわかり、設計士が「この空間をどうしたい」という想いも感じられました。

建築がその「かたち」に至るまでの「軌跡」に触れることが、これほどまでに心を躍らせる体験だとは思いませんでした。そして今、私たちが取り組んでいるBAミュージアムも、まさにその“軌跡”を伝えることを目的としています。今回のイベントを通じて、建築を学ぶ学生の皆さんにも、この感覚をぜひ体感してほしい!そんな思いを、改めて強く抱きました。

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